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国際的コンプライアンス確認プログラム

国際取引を行う多国籍企業にとって移転価格問題は切っても切り離せない問題です。移転価格文書の作成はもちろんのこと、将来的に移転価格紛争が起こるのを避けるために事前確認(APA: Advance Pricing Arrangement)制度を利用している企業もあります。
昨今OECDが中心となり、新たに国際的コンプライアンス確認プログラム(ICAP: International Compliance Assurance Program)を立上げ、従来のAPAとは異なる取り組みを始めています。ICAPとは多国籍企業グループの希望により、複数の国・地域の税務当局が、その国別報告書、マスターファイル及びローカルファイルといった移転価格文書に基づき、協調してハイレベルなリスク評価を行う取り組みです。
APAが合意内容に拘束力を持つのに対して、ICAPは申請法人の移転価格ポリシーが適切であることを保証するものにとどまる(拘束力はない)という特徴がありますが、APAの締結に2~4年要するのに対して、ICAPは半年から1年という比較的短期間で締結されることから、今後利用する法人が現れることが見込まれます。