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トランプ関税が日本企業の移転価格に与える影響

弊社のクライアントの中には海外親会社のために日本で商品を調達して、海外親会社へ販売する取引を行っている会社があります。このような会社は基本的に商品の国内調達、関係会社への輸出取引が中心となります。
昨今のトランプ大統領による高関税がUS側の輸入取引にどのような影響を及ぼすか考えてみます。日本子会社とUS親会社間の取引金額を移転価格税制に基づき独立企業間価格に基づいて行っていたとします。トランプ関税によりUS側で輸入時に高関税が課された場合、US法人の利益率を圧迫することになります。関税を負担した結果、US法人の利益率が適正レンジを下回ってしまうと、US側での移転価格課税リスクが高まることになります。

この事態を回避するために、日本側で価格調整金としてUS側の関税相当額を負担するとどうなるでしょうか。確かにUS法人の利益率は回復し、適正レンジ内に収まるかもしれませんが、日本側で合理的な理由なしにUS法人の関税相当額を負担した場合、国外関連者に対する寄付金として損金不算入の税務リスクが高まります。また、日本側の利益率が低くなりますので、移転価格課税リスクも高まることになります。
このように国際取引が行われる場合、当事者双方の国どうしの税金の取り合いになりますので、一方の国による高関税は移転価格を考えるうえで悩ましい問題です。