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東京地裁 移転価格税制を巡り納税者が勝訴

東京地裁はこのほど、移転価格税制の適用を巡る事件について、国が行った法人税の更正処分等(令和2年判決)を取り消しました。これは、取引単位営業利益法(TNMM)に関する初の司法判断となります。
独立企業間価格の算定に当たって国が採用した算定方法が「TNMMに準ずる方法と同等の方法」であるとする国の主張が認められなかったのですが、東京地裁はこの「TNMMに準ずる方法と同等の方法」の定義を、「国外関連者と比較対象法人の差異が、売上高営業利益率の相違に影響を与えない(途中略)であれば、比較対象法人の売上高営業利益率を基に、国外関連取引の独立企業間価格を算定することができる」としています。
本件では、国外関連者と比較対象法人の「市場の状況」に差異があり、売上高営業利益率の相違に重要な影響を与えるものであるため、国外関連者と比較対象法人の間に比較可能性があるということは出来ない、と判断された点がポイントとなります。
TNMMが争点となり裁判所が判断を示したのは本件が初とのことです。なお敗訴した国は東京高裁に控訴していますので、今後の動向も注視する必要があります。