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国税庁 令和5年度分「会社標本調査」の調査結果を公表

国税庁は4月24日、国内の法人企業を対象にその実態を明らかにした令和5年度分の「会社標本調査」の調査結果を公表しました。この調査は内国普通法人のR5.4.1からR6.3.31までに終了した事業年度につきサンプル調査したものです。
全体の法人数は約296万社と11年連続で増加し、このうち利益計上(黒字)法人は過去最大の約115万社で全体の39.0%に拡大しました。

営業収入金額は1,760兆1,788億円(前年度比2.2%増)で3年連続、所得金額は91兆7,696億円(同14.7%増)と4年連続で増え、ともに過去最高でした。
また法人税額は16兆3,976億円(同15.1%増)、外国税額控除は1兆2,047億円(同47.0%増)と増加した一方、所得税額控除はR5.10から完全子会社株式等に係る配当等の源泉徴収が無くなったこともあり、3兆8,819億円(同184%減)と4年ぶりに減少しました。

また交際費等の支出額は4兆1,841億円(同16.8%増)で2年連続、寄付金の支出額は1兆3,702億円(同33.4%増)で4年連続の増加となりました。なお寄付金の支出額のうち1兆1,233億円がその他の寄付金(同42.9%増)となり、これには完全子法人への寄付も含まれています。

外国人旅行者向け消費税免税制度の見直し

令和7年度税制改正大綱により、外国人旅行者向け消費税免税制度はリファンド方式へ移行することとなりました。輸出物品販売場を経営する事業者(免税店)は一旦課税で販売し、旅行者が90日以内に税関で持ち出し確認を受けることで免税が成立します。免税店は国税庁システムを経由して「税関確認情報」を取得・保存し、課税売上げを免税売上げに振り替えたうえで、消費税相当額を旅行者に返金します。振替処理は免税店が税関確認情報を取得する都度、課税売上げから免税売上げに振り替えるほか、月次等の一定のタイミングで一括して振り替える処理を行っても差し支えないとしています。なお、対象物品の持ち出しが確認できない場合は、課税売上げのまま取り扱うことになります。

所有権移転外リースの分割控除について

新リース会計基準では、借手はすべてのリースを資産・負債として貸借対照表に計上します。一方、非上場の中小企業はこの基準の適用対象外であるため、所有権が移らないリースについては、従来どおり賃貸借処理が認められます。この場合、消費税の仕入税額控除はリース料の支払時ごとに行う「分割控除」が引き続き適用されます。

一方で、所有権が移るファイナンス・リースは、税務上は資産の売買とみなされ、引渡し時に「一括控除」を行うことに変わりはありません。オペレーティング・リースについても、引き続き分割控除が認められます。

リース会計基準の見直しにおける償却資産の申告等の取扱い

令和9年4月1日以後開始事業年度から新リース会計基準が適用されますが、地方税法上、リース資産に係る償却資産の固定資産税については、改正等の対応は予定されていないとのことです。
 従って、新リース会計基準の適用の有無にかかわらず、従来どおり、あくまでも償却資産の申告についてはそのリース資産の所有者が行うこととなります。
 なお、リース取引の種類別にみた場合には、償却資産の申告者は次のようになります。
●所有権移転ファイナンス・リース
 いわゆる売買取引とされ資産の所有権が借手に移ることとなるため、所有者となる借手が申告を行います。
●所有権移転外ファイナンス・リース
 所有者は貸手のままとなるため、貸手であるリース会社が申告を行います。
●オペレーティング・リース
 所有権移転外ファイナンス・リースと同様、貸手が申告を行います。

リース会計基準の見直しにおける付加価値割のリースの取扱い

令和9年4月1日以後開始事業年度から適用される新リース会計基準により、不動産の賃貸借契約が原則としてリース取引とされる事となりました。その結果、これまでの不動産賃借料の支払に係る“地代家賃”等の勘定科目が“減価償却費”と“支払利息”に変わります。
一方で、事業税の外形標準課税の付加価値割の算定においてのリースの取扱いは、従来どおり「支払賃借料」に含めることが明確化されました。
これまで“地代家賃”等の勘定科目で「支払賃借料」の集計をしていた場合は、先に述べた勘定科目の変更により、集計漏れに留意する必要があります。

定額減税に係る給付金受給が及ぼす減税事務への影響

令和4年度税制改正において、資産を先行取得してから国庫補助金等が交付される場合に事後的に圧縮記帳を適用する場合の税務上の処理が明らかになりました。
設備取得事業年度における、法人税額の特別控除の計算の基礎となる設備の取得価格は、その実際の取得価格から補助金交付予定金額を控除した金額と定められました。
つまり、翌事業年度で圧縮記帳を行いたいというのであれば、設備取得事業年度において、圧縮記帳による減額相当額を見込んだ処理を行っておく必要があることになります。
また、令和4年度税制改正では取得した資産について、特別控除を選択した場合にも触れ、その償却限度額の計算の基礎となる取得価格は、同様に補助金の主は予定金額を控除した金額とすると定められました。

設備投資系の補助金の税額控除または特別償却の処理

令和4年度税制改正において、資産を先行取得してから国庫補助金等が交付される場合に事後的に圧縮記帳を適用する場合の税務上の処理が明らかになりました。
設備取得事業年度における、法人税額の特別控除の計算の基礎となる設備の取得価格は、その実際の取得価格から補助金交付予定金額を控除した金額と定められました。
つまり、翌事業年度で圧縮記帳を行いたいというのであれば、設備取得事業年度において、圧縮記帳による減額相当額を見込んだ処理を行っておく必要があることになります。
また、令和4年度税制改正では取得した資産について、特別控除を選択した場合にも触れ、その償却限度額の計算の基礎となる取得価格は、同様に補助金の主は予定金額を控除した金額とすると定められました。

設備投資系の補助金の圧縮記帳の時期と額

令和4年度税制改正において、補助金の交付を受ける前に取得した固定資産に対して圧縮記帳が可能である旨の通達が廃止され、法人税法第42条「国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入」に明記される事となりました。
これにより、令和6年4月1日以後終了事業年度分の申告から、別表十三(一)において取得時期の期ずれがある場合の対応欄が新設されています。
たとえば、X1年に2,000万円で設備を取得し、X1年にその設備取得に係る補助金を1,000万円受けた場合においては、設備の取得と補助金確定が同じ事業年度であるため、X1年において1,000万円の損金算入が可能です。
しかし、補助金の交付がX2年となり、設備取得と補助金交付に期ずれが生じた場合はどうなるでしょうか。
X1年においては2,000万円を固定資産計上し、減価償却により費用計上をすることができます。その後、X2年において、補助金が入金された場合、固定資産の帳簿価額に補助金交付割合を乗じて圧縮限度額を計算することになります。

設備投資に係る補助金の収益計上時期について

設備投資を行った場合の補助金の入金について、近年、設備取得が先行して補助金確定が翌期にずれこむことが常態化しつつあります。この場合、交付を受ける補助金等の収益計上時期は補助金等の交付決定日の属する事業年度となっております。
具体的な経理処理としては、交付決定日の属する事業年度から確定通知日の属する事業年度まで仮受金等として負債の部に計上し、確定通知日の属する事業年度において補助金相当額を収益計上するとともに圧縮記帳による費用計上をすることができます。
また補助金等相当額の特別勘定を設けて費用等として経理することにより、確定通知日の属する事業年度まで収益を繰り延べ、確定通知日の属する事業年度において補助金相当額の収益計上と圧縮記帳による費用計上をすることも可能です。

令和6年度改正による外形標準課税の見直しに係る留意点

令和6年度税制改正による外形標準課税見直しにより、令和8年4月1日開始事業年度から、払込資本の額(資本金と資本剰余金の合計額)が50億円を超える親法人(特定法人)の100%子法人等のうち、資本金が1億円以下で払込資本の額が2億円超のものは外形標準課税の対象となります。
ここで、意図的な払込資本の減少に対応するため「配当加算措置」が規定されています。具体的には、令和6年3月30日以後にその100%子法人等が親法人に対して資本剰余金の配当を行った場合、その配当により「減少した払込資本の額」を加算した上で2億円超か否かの判定を行います。
100%子法人等の払込資本の額が減少するケースとして「自己株式を取得して消却する」や「その他資本剰余金を欠損填補に充てる」ケースがありますが、それらは減少要因が資本剰余金の配当でないため「配当加算措置」の対象外となります。一方、100%子法人等が行った「分割型分割」により減少した払込資本の額は対象となりますので注意が必要です。