第7話:外国法人の源泉徴収の免除証明書_vol.1

国際税務の最前線を紹介する
「Rino's Tax Diary」

第7話:外国法人の源泉徴収の免除証明書_vol.1

丁度リノが昼食を取り終わった頃、不動産会社社長の栗山さんが事務所にやってきた。
「いよいよテナントが決まって家賃収入が入ってきますよ。ここまで長かったですからね~。」そう言いながら栗山さんは会議室のソファーに腰を下ろした。
「こんにちは。雨の中ご足労ありがとうございます。やっと収入が入ってくるのは喜びもひとしおですね。」リノは抱えてきた書類を机におきながら栗山さんの正面に座った。

栗山さんの会社は不動産管理業を行っている会社だ。もともとシンガポール法人が投資の一環として日本で事業用ビルを購入するために日本支店を開設、支店名義でビルを購入した。ただ、シンガポール法人が前面に立ってテナント募集をするのは困難だったため、シンガポール法人は栗山さんの会社へテナント募集から家賃の管理、修理などのメンテナンス業務全般を依頼している。テナントからの家賃は一旦、栗山さんの会社に入り、栗山さんの会社がとるべき業務委託料を差し引いた残りをシンガポール法人の日本支店へ送金するというフローで進めることが決まっている。

「来月分の家賃が今月末に入ってくる予定です。うちは手数料を引いてシンガポール法人の日本支店へ振り込めばいいんですよね。それも今月中に振り込んだ方がいいですよね。」
栗山さんは出された紅茶を飲みながら聞いてきた。
「家賃計算書は今月中に先方へ出した方が良いですが、支払いは翌月でもいいんじゃないですか。月末に家賃が入ってくる場合もありますし、慌てて支払うと間違えてしまう可能性もありますから、少し余裕をもって支払った方が良いかと思いますよ。」
リノは続ける。「そう言えば、以前にお話ししていた「外国法人に対する源泉徴収の免除証明書」はシンガポール法人から入手していますか?入手していないとシンガポール法人へ家賃を支払うときに源泉所得税がかかってしまいますよ。」
「えっ?!すみません、何のことか忘れていました・・・。」栗山さんはぽかんとした表情を浮かべたが、すぐに思い出したように「そういえばだいぶ前に源泉徴収が云々という話を聞いたような、聞かないような・・・。その書類ないとまずいですかね。」と続けた。
「ないよりあった方が絶対いいです。もし、免除証明書の交付を受けていないと御社の方で源泉徴収義務が発生しますよ。シンガポール法人の日本支店へ支払う時に20.42%の源泉所得税を控除する必要がありますよ。」リノは答えた。
栗山さんはしばらく考えて、「う~ん、困ったな。どうやってシンガポール法人へ説明したらよいか、まず私の頭を整理しないといけないですね。そもそもどうしてこんな面倒な書類手続きが必要なのですか。以前に説明して頂いたかもしれませんが、もう一度最初から説明して頂けますか。何度もすみません・・・。」と申し訳なさそうに言った。
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発行者:坂下国際税理士法人