第24話:税関調査の影響_vol.2

国際税務の最前線を紹介する
「Rino's Tax Diary」

第24話:税関調査の影響_vol.2

「今回の税関事後調査で、うちにとって何かリスクはありますか?」三枝さんは不安そうに聞いてきた。
「そうですね・・・。」リノはそう言ってClientの取り扱っている商品を思い出しながら、
「因みに通関業務は三枝さんの方で行っているのですか?」と尋ねた。
「いや、物流担当の山下がおりますので、基本的には山下がやっています。輸入消費税など実際に費用が生じる書類は経理に回ってきますが。」三枝さんは続ける。
「事後調査の時は山下も同席した方が良いのでしょうか?」
「事前に当局から要求された書類を準備しておけば、物流担当の方が調査時にずっと立ち会う必要はないかと思います。ただ事前に通関のフローなどは社内で確認しておいた方が良いですね。」とリノは答えた。
「ところで、御社のインコタームズはCIFですか?それともFOBですか?」とリノは質問した。
「えぇっと・・・確かCIFだった気がします。」と三枝さん。
「そうなると、日本の港についてからの費用を御社が負担しているという理解でいいのですよね。」とリノは確認した。
「そうだと思います。」三枝さんは答えた。
「だとすると、本社から後付けでFreightとか請求されることはないということでしょうか。」リノはさらに聞いた。
「ええ。基本的にはないですが・・・。あれっ?でも以前に本社からFreightを立て替えたから支払ってくれと言われてInvoiceが発行されたことがあったと思いますが何かまずかったですか?」三枝さんは慌てた表情をした。
「それって輸入貨物に係るFreightですか?」リノは聞いた。
「もしそのFreightが輸入貨物に係るものだと通関価格に含めて申告する必要がありますね。」とリノは説明した。
「なるほど、そうなんですね。確か金額にして700ユーロぐらいだったかな。本社からFreightをチャージされてくることはほとんどないんですけど、忘れたころたまにあるんですよね。」三枝さんは思い出すように言った。
「すごく厳密に言うと、どの輸入許可書に係るものかを調査して税関へ修正申告することになるのですが・・・金額がそこまで大きくなくて良かったです。」リノは言った。
「私の方でも山下さんへどの輸入許可書の分のFreightか、ちょっと確認してみます。」三枝さんはそう言って席を立ちあがった。
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発行者:坂下国際税理士法人