1. HOME
  2. >
  3. Rino's Tax Diary

第13話:本社付替え経費

国際税務の最前線を紹介する
「Rino's Tax Diary」 
第13話:本社付替え経費
今日は朝から電話が多い。リノは立て続けに鳴った電話に出ていたので、取りかかっている仕事がなかなか片付かない。今日は全然はかどらないな~と思いながら、リノはすっかり冷めてしまった紅茶に口をつけた。午前中に溜まったメールを見ていると桐田さんからのメールが目に留まった。桐田さんはフランス資本のソフトウェア開発を行っている日本子会社の管理部コントローラーだ。
「至急ご連絡ください。桐田」とメールの題名にある。早速メールを見ると「先ほど電話したのですが、お電話中のようでしたのでメールしました。本社の経費について教えて頂きたく。」としか書いていない。至急とあるので、リノはすぐに桐田さんへ電話をかけた。
「メールを見てくださったのですね。早速お電話をありがとうございます。」すぐに桐田さんが電話に出た。
「お世話になっております。先ほどは電話中ですみませんでした。本社の経費についてご相談とのことですが・・・。」リノは早速切り出す。
「ええ。実は急に昨日の夕方に本社から連絡が入りましてね、本社でうちのために仕事しているから本社の経費を負担してくれって言われたんですよ。これって大丈夫なんですか?」桐田さんが話し出した。
「なるほど。具体的に本社は子会社である御社のためにどのような仕事をされているんですか?」リノは聞いた。
「そうですね、例えば子会社から月次の報告を上げた後、毎月定例会議をやるのですが、経理面でいうと仕訳など細かい指示からファイナンス指導など色々ですね。うちとクライアント間の契約書なんかもすべて本社がチェックしていますので、管理部門のマネジメント全般といったところです。」
「なるほど。それで今回本社はどのような経費を御社へ付け替えたいと言っているのですか?」
「主に本社の管理部の人件費だと思いますよ。」
「ちなみに日本子会社のためにかかった経費かどうかはどうやって把握しているんですか?」
「そのあたりは本社で管理はきちんとしていて、社内のシステム上で、各人がタイムシートを作成しているみたいです。どこの子会社のためにどんな仕事を何時間作業したかタイムシートを見ると一目瞭然なんですよ。子会社ごとのコードでソートすると、すぐにうちのためにかかった経費が集計されるようになっているみたいです。日本だけじゃなく他の国の子会社にも経費を付け替えているみたいですからね。」
「へえ。それはすごいですね。」リノは驚いて言った。大会社ならともかく、本社が100人規模の会社の割にすごいシステムが入っているようだ。
「うちはシステム開発会社ですからね。こういったシステムを構築するのは得意分野ですよ。それがうちの飯の種ですからね。」桐田さんはちょっと得意そうにそう言った。
「本社から日本の子会社へ経費を付け替える場合、付替え金額に合理的な計算根拠があるかどうかが重要です。お話を伺った限り、本社が日本子会社のために費やした時間を集計できるようですので、問題なく行けそうな気がします。毎月御社の方でも本社からの付け替え経費の集計表を保管しておいた方が良いと思います。」とリノは説明した。
「それならば大丈夫だと思います。ありがとうございました。あっ、もうこんな時間だ。これからすぐに出かけなくちゃならないんです。すみません、ではこれで失礼します。」桐田さんはそう言って慌てて電話を切った。
この小説に関するご意見・ご感想をお待ちしております。

(無断の、一部又は全部の引用及び転載は禁止いたします。)
発行者:坂下国際税理士法人
お気軽にお問い合わせ下さい
TEL 03-6434-9713