BEPSプロジェクト

BEPSプロジェクト

リーマンショック後の財政悪化や所得格差の拡大を背景に、一部の欧米多国籍企業が行っていた過度な租税回避行為について、政治的に見過ごすことができなくなってきました。
また同時に、国境を越えた電子商取引の広がりなどの経済のグローバル化に対しても、国際課税ルールが追いついていない状況がみられ、この結果、源泉地国でも居住地国でも十分に課税されない「二重非課税」の問題や、本来課税されるべき経済活動が行われている国で所得計上されない問題が顕在化してきました。
これらの状況を踏まえ、国境を越えた脱税・租税回避スキームに対し、国際協調の下、戦略的かつ分野横断的に問題解決を図るため、2012年6月より「BEPSプロジェクト」(BEPS(Base Erosion and Profit Shifting、税源浸食と利益移転)プロジェクト)が立ち上がりました。
BEPSプロジェクトは過度な租税回避行為を防止すべく、国際課税ルールを見直し、各国税務当局が協調して対処することを目的とするものであり、OECD/G20の各国税務当局が議論を積み重ねております。
移転価格税制の面では、BEPS行動13において、多国籍企業は企業グループ全体の概要・実績等を示す文書を作成し、各国税務当局に提出する義務が課されることとなりました。また、BEPS行動8-10において、無形資産等の取扱いについての新たな基準が設けられる予定であり、それを踏まえた移転価格税制への対応の在り方が求められております。