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第28話:EXPATのHome leave

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「Rino's Tax Diary」 
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Rino's Tax Diary 第28話:EXPATのHome leave
朝の9時15分。リノの事務所の始業時間だ。リノが昨晩から今朝にかけて受信したメールをチェックしていると電話が鳴った。
「おはようございます。ジェントリージャパンの森杉です。朝早くにすみません、ちょっと急な相談がありまして、今からそちらへ伺ってよろしいでしょうか。」ジェントリージャパンはドイツ系の精密機械を輸入販売している会社で、森杉さんはジェントリー社のアカウンティングマネージャーだ。
「ええ、午前中でしたら大丈夫ですよ。お待ちしております。」リノはそう言って電話を切った。
30分後、森杉さんが事務所に来た。
「突然ですみません。電話でも良かったのですが、給与というか待遇面の相談ですので、うちのオフィスで話すのはちょっと控えた方が良いかと思って、それでこちらへ来てしまいました。」森杉さんは続ける。
「早速なのですが、うちのドイツ人の役員は家族と一緒に日本に赴任しているんですけど、夏休みの休暇で本国へ一時帰国するんですよ。その時の渡航費用なんですけど、ちょっと面倒くさくて、奥さんとお子さんが先に帰国して、本人は一週間ずらして帰国するんです。今のところ全額会社で費用負担するつもりなのですが、これって課税されるんですか?」
「渡航費用って現金支給でなくて、航空券を支給するんですよね。」リノが聞くと、
「ええ、そうです。航空券を渡す予定です。」森杉さんはすぐに答えた。
「そうなると、奥さんとお子さんの分は給与課税されますね。」リノが言うと、
「えっ、そうなんですか。ご家族分も非課税で行けるんじゃないんですか?」森杉さんは驚いたように聞いた。
「そもそもEXPATのHome Leaveの規定は、外国に赴任しているEXPATの大変さをねぎらうためのものですから、本来であれば本人の渡航費用のみ非課税とするものを、家族同伴で帰国するのであれば家族分も面倒を見てあげましょうという趣旨のもとに作られたものなんです。そのため、家族別々に渡航する場合の家族分を非課税とするのは難しいと思いますよ。つい拡大解釈してここまではいいかという気になるんですけど、税務調査では厳しく見られるんですよ。」リノは諭すように説明した。
「そうですか、危なかったですね。聞かなかったら非課税としていましたよ。」森杉さんはほっとしたように言った。
「あっ、そうそう。因みに給与課税というのはいいとして、この方は役員ですから、賞与としての取り扱いになりますよ。すなわち、税務上は損金不算入ですから気を付けてくださいね。」リノは慌てて付け加えた。
「ふ~ん、確かに。役員賞与で否認ですか・・・。源泉とられたうえにダブルパンチですね。これじゃあ、別々に帰国するなら家族分は本人負担してもらいたいくらいですよ。」森杉さんはそういいながら出された紅茶を口にした。
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