1. HOME
  2. >
  3. Rino's Tax Diary

第25話:EXPATの法定家賃_vol.1

国際税務の最前線を紹介する
「Rino's Tax Diary」 
Contents
Rino's Tax Diary 第25話:EXPATの法定家賃_vol.1
久々にブレックスジャパン㈱の久野さんから電話がかかってきた。ブレックスジャパンはUS本社から医療機器を輸入販売している、従業員500名超、年商500億円超の大所帯の会社だ。久野さんは軽く挨拶をした後、早速本題に入った。
「こんにちは。お久しぶりです。実はEXPATの給与課税についてご相談があるのですが、この電話でもよろしいですか?」
「ええ、大丈夫ですよ。どのような内容ですか。」リノが聞き返すと久野さんは続けた。
「ご存知のように、うちはEXPATが常に10人前後いるのですが、彼らの待遇は人によってまちまちなのです。個々にOffer letterをもらって赴任しているので、条件が違うのは当然なのですが、いくら課税したらよいのか悩むものがあるんです。」
「例えばどんなものですか。」とリノ。
「うちのEXPATは、日本の生活に関する費用はほとんど会社で面倒を見てもらえる好待遇で赴任してきていますので、当然こっちの家賃は会社が負担しているんですよ。」
「法定家賃のことですね。」リノが確認する。
「はい、そうです。本人は家賃を一円も負担していないんですけど、課税はどうなるんですか。」久野さんが聞いた。
「そのEXPATの方って、御社の役員ですか、従業員ですか。」リノが聞くと、
「Controllerだから役員ではないですね。従業員になります。」久野さんは答える。
「結論から申し上げると、家賃の10%程度を課税しておけば税務上は問題ないですよ。」リノは続ける。
「本当であれば、そのEXPATの方が借りている家の固定資産税の課税標準額をもとに計算した金額を現物給与として課税するのが正しいんですけど、大家さんから固定資産税評価額を聞くことって現実的に難しいですよね。」
「う~ん、確かにそうですね。」久野さんが相槌を打つ。
「大家さんに物件の固定資産税評価額を教えてくださいなんて言ったって、普通は教えてくれませんよね。家賃の金額を決めるときに固定資産税評価額などを参考にして決めることもありますので、そんな重要な情報を教えてくれるはずがありません。そこで、実務的には、固定資産税評価額をもとに計算した金額が、大体家賃の10%程度になることに着目して、家賃の10%程度を経済的利益として課税しておけばおおむね問題ないということになっているんですよ。」リノはできるだけ詳細に説明した。
「へぇ~、なるほど。それならばわかりやすくていいですね。」久野さんは感心している。
「あっ、でもそうなると、うちはEXPATの給与を手取り保証しているから、この家賃の10%分もGross-up計算に入れることになるんですよね。」と久野さんが確認した。
「そうなりますね。」リノが答えると、
「うわ~、すごいことになりそう。いったいいくら会社が負担しているんだって金額になっちゃうかも。ちょっと試算してみます。ありがとうございました。」そう言って久野さんはそそくさと電話を切った。
この小説に関するご意見・ご感想をお待ちしております。

(無断の、一部又は全部の引用及び転載は禁止いたします。)
発行者:坂下国際税理士法人
お気軽にお問い合わせ下さい
TEL 03-3664-7713