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第22話:移転価格上の無形資産

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「Rino's Tax Diary」 
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Rino's Tax Diary 第22話:移転価格上の無形資産
今日は一日外出予定がない。リノは朝から机の上に積みあがっていた税務関係の資料の整理をしている。定期購読している税務雑誌が何冊かたまっている。目次に目を通していると、ローカルファイル作成にあたっての例示集が載っている。ローカルファイルとは、国際間取引について、独立企業間価格を算定するために必要とされる書類のことだ。リノは先日国税庁から例示集が出たというニュースを小耳にはさんでいたことを思い出した。なかなか細かい例示が示されたんだなと思いながら記事を読んでいると、一緒に仕事をしている川崎さんが話しかけてきた。
「リノさん、すみません、ちょっといいですか。あの~、無形資産の考え方って難しいですよね。先日、Visitingしたお客さんのBookに本社に対するノウハウの支払いがあったんですよ。ノウハウってなんですかね。目に見えないからどんなものなのか説明もできないし、金額も高いのか安いのかわかりませんよね。」
「それって、サルジコ㈱のことですよね。確か売上の3%をノウハウの使用料として本社に支払っていますよね。」
「ええ、そのことです。そもそも無形資産ってなんですか。」
「特許権や商標権とかのように権利として法的に登録されているものであればまだわかるんだけど、登録されていないものでも無形資産になるものがあるからわからなくなるんですよね。ノウハウもまさにその類だけど、要するに通常の製造ラインや販売活動だけでは生み出せないけど、独自の機能をもっているからこそプラスアルファの利益を生み出すことができるものがあれば、その機能部分を無形資産といっているんですよね。」リノは自分の頭の中で整理しながら答えた。
「そういえば、移転価格の事務運営指針にも無形資産に特許権はもちろんのこと、ノウハウも列挙されているですよ。例えば同業他社で利益率が違う会社があったとして、その要因が無形資産をもっているかどうかの違いなのか、それともその他の要因なのか、会社の活動や機能を分析する必要があるといっているんですよ。」
「うぅ~ん、なんだかよくわからないですね。」川崎さんは考えこんでいる。
「確かに、漠然としていますよね。例えば今回の場合、サルジコ㈱が本社へノウハウの使用料を支払っているけど、要するに本社がそのノウハウを形成、維持していくのに、本社がどの程度貢献しているのか判断する必要があるといっているのよ。単に費用負担しているというだけではなく、どうやってノウハウを形成しているのか、形成経過の意思決定とか、機能やリスク管理がどうなっているかなどを総合的に判断すると事務運営指針で言っているみたいですよ。」リノは付け加えたが、自分でも本当にわかるのかなと不安になっていた。
「・・・・。結局、結論はよくわからないって感じですか。」川崎さんは聞いてきた。
「はっきり言っちゃうと、無形資産の評価って絶対的なものはないんですよね。悩ましいところなんですけど、結局はなぜその金額になったのか、いかに論理的に説明できるかがポイントなんですよね。」リノはそういってお茶をとりに席を外した。
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