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第21話:日台租税協定

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「Rino's Tax Diary」 
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Rino's Tax Diary 第21話:日台租税協定
朝からぎらぎらと夏の太陽が照りつける中、リノはBook reviewのため、ソフトウェアのライセンス販売を行っている台湾系企業に訪問している。着いて早々、月岡さんが会議室に入ってきて、「こちらが今月の資料になります。」と言いながら月次の資料と分厚いファイルをどさっと会議室のテーブルへ置いた。リノはファイルの束をちらっと見ながらカバンから筆記用具と電卓を取り出した。ハンカチで額の汗をおさえながら一呼吸ついていると、月岡さんが「最初にちょっと伺いたいのですが・・・。」と切り出してきた。
「あっ、はい。わかりました。どうぞ。」リノはそう答えて早速ペンを手にとった。
「来年から台湾との租税条約ができるんですよね!やっとこれでうちも源泉が減りますね。あの~、そういう理解でいいんですよね。」月岡さんはリノの反応を伺うように話し始めた。
「さすがによくご存知ですね。ええ、そのとおりです。日台租税協定が2016年6月に発効がされていますので、2017年1月1日から適用されることになりますよ。御社の場合、台湾本社へロイヤリティーを支払っていますから、源泉税率が20.42%から10%に軽減されることになりますね。御社の場合、平均すると毎月5,000万円ぐらい本社へ送金しているから毎月500万円ちょっと源泉税が減ることになるんですよね。年間だと6,200万円以上になりますね、う~ん、これは大きいですね~。」リノは電卓をたたきながら答えた。
「あの、源泉税はゼロにならないんですか?」月岡さんは残念そうに聞いた。
「ええ、残念ですが免税にはなりません。使用料だと10%ですね。」リノはすぐに応えた。
「そうですか、わかりました。そうすると、来年1月以降の送金分から10%の源泉でいいんですよね。」月岡さんは手許にある本社へのロイヤリティーの残高明細表を見ながら聞いてきた。
「う~ん、そうだといいんですが、ちょっと違いますね。源泉税率が10%に軽減されること自体はあっているのですが、2017年1月以降に発生したロイヤリティーに係る源泉税が10%に軽減されるということになりますので、2016年12月以前に生じたロイヤリティーについては、従前どおり20.42%の源泉が必要になるんですよ。」リノはさらに続けて、「そうじゃないと、みんな従前のロイヤリティーを支払わないで溜めておいて、2017年1月以降に送金しますよね。なかなかそうはさせないようになっているんですよ。」リノは付け加えた。
「え~っ、そうなんですか。なんかちょっと残念です。まだ今年分と昨年分のロイヤリティーの支払いがまだ残っていますからね。まずは古いロイヤリティーから支払うことになりますので、そうすると当分20.42%の源泉っていうことになりますね。せっかく軽減できると思ったのに・・・。」月岡さんはがっかりしたようだ。
「う~ん、そうですね。それは仕方がありませんね。まあ、来年から発生するロイヤリティー分は軽減税率になるのですから、もう少しの間は従前どおりということになってしまいますね。あっ、そうそう、細かいんですけど、台湾は国ではないので租税条約ではなくて租税協定なんですよ。」リノはそういいながら一息ついて椅子に座りなおした。
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