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第20話:BEPSプロジェクト_vol.3

国際税務の最前線を紹介する
「Rino's Tax Diary」 
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Rino's Tax Diary 第20話:BEPSプロジェクト_vol.3
両手に熱いお茶が入ったカップを持ってきながら渡辺さんが戻ってきた。
「まぁお茶でもどうぞ。ところで、うちが関係してくる移転価格の文書って何でしたっけ?」と渡辺さんが聞いた。
「ローカルファイルのことですね。御社は親会社から年間80億円ぐらいの仕入れがありますから、ローカルファイルは御社側で作成する必要がありますね。」リノはすぐに答えた。
「そうなんですか・・・う~ん、大変だな~。何か免除される要件とかないんですかね。」渡辺さんは少しの期待を込めながらさらに質問してきた。
「一つの国外関連者との年間の取引額が50億円未満だとか、例えば使用料などのロイヤリティーが3億円未満であればローカルファイルの作成は免除されるのですが、御社はロイヤリティーはないですけど、親会社からの仕入れが明らかに毎年50億円以上ありますので、作成は免除されないですね。」リノは残念そうに言った。
「そうですか~。仕方がないですね。作成するしかないと・・・。ちなみにこれも2017年から作る必要があるんですか?」渡辺さんは観念したように言った。
「いえいえ、ローカルファイルの作成はちょっと猶予があるんです。こちらは2017年4月1日以降開始の事業年度となっていますので、御社の場合だと2018年12月期から作成する必要がありますね。」とリノは答えた。
「ちなみにローカルファイルは、渡辺さんもご存じのとおり、いわゆるベンチマークなどをやって、どうやって国外関連者との取引を決めたのかということを記載する書類です。もちろん、ベンチマークを行うには、まず国外関連者との取引状況とか、競合他社分析をした上で分析することになりますけどね。」リノは補足した。
「だいたい理解しました。要するにうちとしては、連結売上が1,000億円以上だったら、国別報告書とマスターファイルは親会社の方で責任をもって作成してもらって、ローカルファイルはこちらで準備するといった手順ですよね。」と渡辺さんは自分でとったメモを見ながらまとめた。
「そうですね、その通りです。」リノが言うと、
「じゃあ、今のうちからローカルファイルを作成できるように準備を始めます。影山さんの事務所でローカルファイルのサポートとかってして頂けるんですか?」と渡辺さんは聞いた。
「ええ、やっていますよ。今は移転価格の案件だけスポットで受けることはしていないんですけど、現在関与させていただいているお客様にはサポートしています。先日もフランス系のお客様のローカルファイルの作成をお手伝いしたところです。」リノはそう答えた。
「そうですか、それは良かった。安心です。とても専門的な文書なので、自分たちだけではとても出来ませんから。では、ローカルファイルの作成をお願いした場合のお見積もりを頂けますか。」渡辺さんは安堵の表情を浮かべて自分が運んできたお茶に手を伸ばした。
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