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第19話:BEPSプロジェクト_vol.2

国際税務の最前線を紹介する
「Rino's Tax Diary」 
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Rino's Tax Diary 第19話:BEPSプロジェクト_vol.2
「おはようございます。やっと春らしくなってきましたね。」リノはそう言いながら、会議室のドアを開けた。今日はビーズインターナショナルに確定申告書を届けるためにクライアントのオフィスに訪問している。

「今日はだいぶ暖かいですね。やっと確定申告も終わったし、一段落できそうです。」渡辺さんは嬉しそうな表情を浮かべて席についた。
「今回の確定申告の内容は先日メールで結果をお知らせしたとおりですが、何かご質問はございますか?」リノはそう言いながら申告書一式をカバンから出してクライアントへ手渡した。
「いや、特にないです。今まで散々質問しながら内容をつめていますので大丈夫です。あとは今月中に提出するだけですよね。今日の午後には手続きしますので。」渡辺さんはそう言って申告書を受け取った。
「じゃあ、さっそく本題なのですが・・・、先日途中まで電話で教えて頂いたBEPSの文書化についてもう少し詳しく教えて頂けますか。具体的には何をいつまでに作成する必要があるのか教えてください。」渡辺さんの頭はすっかりBEPSモードになっている。
「はい、承知しました。まず、移転価格の文書には大きく3つの種類があります。」リノは早速切り出した。
「3種類とは、①国別報告書、②事業概況報告書(マスターファイル)、③独立企業間価格算定書類(ローカルファイル)の3つなのですが、それぞれ作成しなければならない要件が決められています。まず、国別報告書とマスターファイルなのですが、これらはグループ全体の直前会計年度の連結ベースの総収入金額が1,000億円以上の法人が作成する必要があります。原文だと750万ユーロ以上と規定されているみたいですが、為替は影響させず1,000億円となっています。因みに御社のグループ全体の売上は1,000億円以上ですか?」とリノは聞いた。
「う~ん、微妙ですね。ひょっとしたら引っかかるかもしれません。一度ちゃんと本社に問い合わせてみないといけないですね。」渡辺さんはメモしながら答えた。
「グループ全体の売上が1,000億円以上の場合は、国別報告書とマスターファイルは親会社が作成することになりますので、御社は直接関わることはないと思います。2016年4月1日以降に開始する事業年度から適用することになっていますので、御社の場合だと親会社も含めて12月決算ですから、2017年12月期決算から提出する必要があるかと思います。」リノは自分のメモを確認しながら説明した。
「2017年ってもうすぐじゃないですか。親会社はわかっているのかな~。」渡辺さんは心配そうな顔をしながら、「ちなみに国別報告書とマスターファイルってどんなことを書くんですか?」と聞いてきた。
「まず、国別報告書というのは、グループの各国別の売上、利益、納税額、資本金などを開示する書類です。この報告書を作成すると、どこの子会社が一番儲かっているか、一目瞭然になりますよね。利益が不当に偏った取引をしているとすぐにわかっちゃうというこわい資料です。あと、マスターファイルは、グループ全体の事業概要、組織図などグループ活動の全体像を説明する資料となります。」リノはできるだけわかりやすく説明した。
「ふぅ~ん、なるほど。まぁ、本社の方はすべて我々子会社の情報を入手しているわけですから、ちゃんと作ろうと思えばデータはそろっているんでしょうね。」渡辺さんはそう言いながら、「ややこしい話をしていたらのどが渇いてしまいましたよ。ちょっと飲み物をとってきます。お茶でいいですか?」と言いながら席を立った。
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