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第16話:国境を越えた役務提供に係る消費税_vol.15

国際税務の最前線を紹介する
「Rino's Tax Diary」 
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Rino's Tax Diary 第16話:国境を越えた役務提供に係る消費税_vol.1
今日、リノは米国系のソフトウェア企業に月次のBook reviewに来ている。ファイルをカバンから出して準備していると、管理部マネージャーの須賀さんがやってきてリノの前に座った。
「ご来社早々すみません。ちょっと質問なのですが、クロスボーダーの役務提供に消費税がかかることになるって聞いたんですけど、いつからそうなるんですか?」
須賀さんはクライアント先に今年の初めに管理部のマネージャーとして入社してきた人だ。非常に勉強熱心で常にインターネットなどで税制改正等の情報を仕入れて自分なりに勉強している。

「実は2015年10月以降の取引について、すでに対象になっているんですよ。導入が決まった時に須賀さんの前任者の方にはお話していたのですが、須賀さんにはまだお話していませんでしたね。すみませんでした。」リノは続けた。
「色々新しく決まったのですが、結論としては御社の場合、今のところ何も影響はないんです。」とリノが言うと、須賀さんは訳が分からないという顔をした。
「順を追って説明しますね。」リノは椅子に座りなおして話し出した。
「御社の場合、国境を越えた役務提供というと、具体的には本社へ支払うシステム利用料が該当します。御社が利用しているシステムは本社とクラウド上でつながっていますよね。そのシステム利用料として毎月3,000ドルを支払っているかと思いますが、この取引は国境を越えた役務提供ということになり、消費税が課税されることになったのです。」
「えっ、ということは3,240ドルを支払わなくてはいけないということですか?まずいですね。支払いもれになっています。ただ、もし支払った場合、その消費税はどうなるのですか?本社が誰にどうやって納税するんですか?・・・う~ん、ちょっとわからないですね・・・。」須賀さんは矢継ぎ早に質問して考え込んでしまった。
「ちょっとややこしい話になってしまうのですが、クロスボーダーの役務提供に係る消費税の取り扱いを考えるときに、事業者向けの取引なのか、消費者向けの取引なのか分けて考えることになります。今回の取引の場合、御社と本社の間での取引ですので、事業者向けの取引ということになり、「リバースチャージ方式」で課税されることになります。「リバースチャージ方式」は、本社が日本の税務署に申告するのではなく、御社が本社の代わりに申告することになるんです。つまり、御社は自分の消費税の他に本社から預かった消費税を合算して申告することになるのですが、課税売上割合が95%以上の事業者については、当分の間この取引がなかったものとされますので、結果として御社は従来どおり自分の消費税だけ申告して、本社分の取引については何もしなくていいことになっているんです。なんとなくご理解いただけましたでしょうか?」リノは須賀さんに聞いてみた。
「はぁ、なんとなくわかったような気がしますが、もう少し自席で考えてみます。」須賀さんはまだしっくりきていないようだ。
「もし、御社が医療業とか不動産業とかで、課税売上割合が95%未満の事業者だったら、「リバースチャージ方式」の影響をもろに受けていたのですが、当面は影響しないので良かったですね。」リノはそう言いながら、ファイルを開いて作業に取りかかる準備をした。
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