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第13話:日本支店における諸問題_vol.3

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「Rino's Tax Diary」 
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Rino's Tax Diary 第13話:日本支店における諸問題_vol.3
「あっそうだ、今期の税金は出ないという理解でよろしいんですよね?」沼田さんは思い出したように聞いてきた。
「えぇっと、今期は支店を設置して第1期ですよね。」リノは確認した。
「はい、そうです。登記したのは今年の1月20日だったかな。」沼田さんはそう言いながら、自分のカバンから登記簿謄本を取り出して応接テーブルの上に置いた。
「今期、つまり支店設置日の1月20日から決算日まで通算して赤字になりそうですか?決算は12月ですよね?」リノは聞いた。
「え~っと、そうですね~。この分だと今期は赤字になりそうですね。思ったより支店の登記とか設立準備に費用がかかってしまって。設立1期目ということもあって、売上も伸びていないんですよ。」
「そうですか・・・。赤字でも住民税の均等割りはかかりますが、法人税はかからないですね。あの、ちょっと謄本を見せて頂いていいですか?」リノはそう言いながらテーブルの上の謄本に手を伸ばした。
「本店の資本金はいくらかというと・・・えっ、75万ユーロもあるんですか?」リノは思わずびっくりして大きな声を出してしまった。
「ええ、そうだと思いますよ。本社は30人位いますからね。支店は私を入れても3人しかいないんですけどね。何かまずいですか?」
「う~ん、微妙ですね。御社のように日本支店の場合、本店と同一の企業体ですので、住民税の均等割りは本店の資本金の額と支店の従業員数に応じて課税されるんです。本店の資本金はユーロ建てなので期末レートで円換算して計算することになるんですけど、現在は1ユーロ125円ぐらいですから、円換算すると9,400万円ぐらいになりますよね。」リノは説明しながら電卓を叩いた。
「そうすると、資本金等の額が1千万円超~1億円以下で、従業員数が50人以下というカテゴリーに入りますので、年間18万円の均等割りがかかることになりますね。ただ、期末に向けて円安に動いて1ユーロ135円ぐらいになってしまうと円換算すると1億円を超えてしまいますよね。そうなると、均等割りのテーブルも年間29万円に上がってしまうし、外形標準課税も課税されることになります。」リノは沼田さんに均等割りのテーブルを見せながら説明した。
「外形標準課税ってなんですか?」沼田さんは初めて聞くような顔をした。
「簡単に言うと、事業税の一種で、会社の所得に関係なく課税される税金です。事業税は所得に対して課税される部分(所得割)と給与や地代家賃の額、資本金の額に応じて課税される部分(外形標準課税)で構成されているのですが、外形標準課税は赤字でもかかる税金ですので、資本金が1億円超になると税負担が大きくなりますよ。導入当初、所得割部分と外形標準課税部分は、3:1の割合だったのですが、現在は5:3、来年は3:5になることが予想されます。つまり、外形標準課税の割合が増える方向なんです。赤字企業にとっては大きな負担になりますよね。」リノは残念そうに言った。
「つまり、期末のレート次第で税金が均等割の18万円ですむか、追加で外形標準課税がかかるか、大違いになるということですね。う~ん、こればかりはどっちに転ぶかわからないもんな~。」沼田さんはそういいながら天井を見上げた。
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