1. HOME
  2. >
  3. Rino's Tax Diary

第11話:日本支店における諸問題_vol.1

国際税務の最前線を紹介する
「Rino's Tax Diary」 
Contents
Rino's Tax Diary 第11話:日本支店における諸問題_vol.1
「えっ、すでに支店登記してしまっているんですか?」リノは驚いて聞き返した。
「はい、そうなんです。本社の担当者が急いで日本の窓口を設けてくれとせかすので、急いで登記したんです。」沼田さんはそれが何かというような顔をした。

リノは会社の概要を知るために続けざまに質問した。今日はリノの事務所にイタリア系のIT企業の日本支店の代表者が来社している。

「支店の具体的な活動を教えて頂けますか?あと、請求書の発行状況や売上の入金状況も教えて頂けますか?」
「はい、支店の活動と言うと、本社の指示で技術者が日本のクライアントのところへ行ってクライアントの要望を聞きながらソフトウェアの開発やネットワークの構築を行っているといった感じでしょうか。請求書は支店で発行しています。イタリア本社の代わりに発行しているといった感じですね。クライアントへは本社へ直接支払ってもらっています。本当は支店に入金してほしいんですけどね。クライアントも海外送金の手数料が高いから支店の口座へ払いたいと言っているんですよ。でも、本社が納得しないんですよね。支店の人間を信用していないのかよくわからないですけど、支店にあんまりお金を置いておきたくないみたいですよ。うちだって家賃とか給与とか色々なランニングコストがかかりますから、クライアントから支店に入金してもらう方が都合がいいんですけどね。」沼田さんはちょっと不服そうに現状の問題点をこぼした。
「なるほど。そうですか。そうなると支店の経費は別途本店から送金されるのですか?」リノは聞いた。
「ええ、そうです。毎月7,500ユーロをきっかり送ってくるので、今だったら100万円弱ですかね。月100万円だと本当にぎりぎりなんですよ。もうちょっと円安だったらよかったんだけどな。1ユーロ150円位だった時代が懐かしいですよ。」沼田さんは残念そうに言った。
「支店形態を取っている会社は、御社のような状況の会社が結構ありますよ。本社としては、基本的に支店にはランニングコストぐらいしかお金を置いておきたくないんでしょうね。支店登記しているといいながら、実態の資金の流れは駐在員事務所時代と変わらないんですよね。本社としてはそれでいいんでしょうが、支店の人たちから見ると、いつ資金がショートしそうか、心配しながら仕事しているんですよね。」リノは沼田さんに同情した。
「へえ。そうなんですか。うちだけじゃないんですね。沼田さんは少し驚いたようだ。
「ええ。売上金をクライアントから本社へ送ってほしいがために子会社じゃなくて支店にする会社もあるぐらいですよ。」リノは補足した。
「ふうむ、なるほど。やっぱり資金管理は本社で握っていたいんですね。」沼田さんはそれじゃあしかたがないといった表情で自分自身に納得するように言い聞かせたようだ。
この小説に関するご意見・ご感想をお待ちしております。

(無断の、一部又は全部の引用及び転載は禁止いたします。)
発行者:坂下国際税理士法人
お気軽にお問い合わせ下さい
TEL 03-3664-7713